【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1



「……なんで、捨てるんだよ」


最後の愛情。


暖かい日に、[姫宮児童養護施設―未来園―]の看板の下に子供を捨てていく、お母さん達。


育てれば、良いのに。


10ヶ月も、守り抜いた命なんだから。


胸を張って、生きれば良いのに。


子供を捨てる大人達は、所詮、自分の存在をちっぽけなものとして見ている。


そういう行為をし、できた子供が邪魔ならば、すぐに殺す。


堕胎という方法があるのだ。


……昔とは、違って。



それでも、薬を飲まず、寝返りには気を遣って、守り抜いてきた子供。


苦しみながら、生んだ子供。


方法はあるのに、使わなかったのは自分が罪人になるのが怖かったからか。


それとも、愛していたからか。


ここで育つ子供達は、母親に淡い期待を抱く。


『お母さんに会いたい』と、嘆く子供もいる。