【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1



「……わからないんですね」


「……悪い。力になれなくて……」


「いえ、あなたでも分からない病気は、他の人にはわかりませんから。すいません、変なことを聞いて」



慈愛、いや、愛情に満ちた瞳。


彼は、気づいているのだろうか。


自分がどんなに愛情を込めた瞳で、彼女を見ているかってことに。


「……その子、なのか?」


ふと、ついて出た言葉。


「……」


相馬の悲しそうな顔が、答えだった。


幼い頃、多くの子供達がいっぺんに生まれ、この病院に入院するものが多くて。


沙耶ちゃんも、夏翠も、その時にこの病院で生まれた。


何百の命が生まれるこの病院……あれは、もう、18年前の話。