「いや、ねぇよ。姉貴自体が、俺のことを殴るし」
「いやいや。あのねぇ?他人と自分が殴るのは、話が違うんだよ。分かる?」
「?……何がちげぇんだよ?」
「……何言っても無駄か。何でもない」
こうして、たまに会話が成立しないのにとてもいらつくが、生きてきた世界が違うので仕方がない。
「……まぁ、姉さんはいいんだ。いつもだから。ところで」
額に手を当てられ、首をかしげた。
「……なに?」
「熱、あんな……休めよ、もう」
心配そうな彼。
心配する意味は、どこにあると言うのか。
「へぇ?平気よ?」
「じゃあ、体温計で計れよ」
そう来るか。
「……寝ます。おやすみなさい」
面倒くさいし、絶対、高くなっているから、黙って、布団に潜り込んだ。
「大変、よろしい」
横になった私の頭を撫でてくるこいつは、何を考えているのだろうか。


