「お嬢様かぁ……」


ベットヘッドに寄っ掛かり、沙耶は宙を仰いだ。


正直、家のことを気にしていないわけではない。


けれど、所詮、沙耶は女だ。


夏翠みたいに完璧ならまだしも、中途半端な人間である。


そんな私が家を継げるはずはない。


何より、世間では、私は二人兄弟だ。


父さんが一度離婚しているから、その前妻との子供が大兄ちゃん。


後妻との子供が、私。


もっと、面白いのは、前妻と後妻が双子ということ。


父さんは世間からみれば、最低な男であるが、実際は母さんしか見えていない野郎である。


そこは、ひとつの事情。


でも、そう考えると、父さんには長男がいるということなんだから、私が会社を継ぐというのはおかしい。



兄ちゃんが継いでくれればな……と、淡い期待を抱いているが、一体、どうなるのだろうか。


そもそも、父さんは殺しても死ななそうだが。