□沙耶side■



「良いわね?また、何かあったら、一番に連絡をするのよ?」


「……はーい」


ニッコリと笑みを深める母親を見上げ、私はとりあえず、うなずいた。


「なんか、困ったことがあったら、遠慮せんで、すぐに電話しろよ?危ないこと以外やったら、何でもしていいから」


「……父さんのそういうところ、好きよ」


「お前もおんなじ性格だからな」



因みに、危ないことというのは、喧嘩は含まない。


思考回路が同じ私たちは、大抵、いつも同じ答えにたどり着く。


「そうね。……次はどこに行くの?」


「とりあえず、契約を取りに行ってくる。だから、韓国に行って、まぁ、転々と」


誤魔化す辺り、ノープランらしい。



「……時々、連絡頂戴ね。何か遭ったときのために」


「分かった、一ヶ月に一回くらいは連絡する。けど、携帯は通じるんだからな?」


「そうなの?前のは無理だったのに……変えたんだ」


「一応、可愛い娘とは連絡を取っておかないとな」


嘘っぺらい笑みを浮かべる父親。


「……嘘つけ」


精いっぱい、悪態つくと、両親は軽く手を振りながら、部屋から出ていく。


「ええな?沙耶。危ないこと、だけはしたらいかんよ?冒険するんは、ええことやけど」


……この言葉を残して。