「ちょっと、散歩にいきません?」


にっこり微笑んだ、彼の下にはどんな顔があるのだろうか。


いくつもの仮面を使い分け、生き抜く男。


唯一、家族に、唯一無二のユイラさんに対してだけ、素顔を見せる彼。


頷いて、付いていけば。


「……ククッ、会社を離れると、貴方も普通の高校生ですね」


彼は、唐突に笑った。


なにか、おかしいところがあっただろうか。