言葉で言い表せない、思いが胸を焼く。
「……わかった?だから、ほどほどにしときなよ?」
「……わかった」
あの言葉に頷いたくせに、俺は結局、変わらずに、毎日ここに通ってしまっている。
(俺、相当な馬鹿だよな……)
沙耶は夕蘭のことなど、記憶にないのに。
こんなことをしても、無駄なのに。
何故か、夕蘭には手を貸してしまう。
幸せになってほしいと思っているからか、心が叫ぶ。
”笑え“と。
”夕蘭“はもう、存在しないのに。
”黒橋沙耶“に向かって、思うのだ。
”笑って“と。
なんて、自分勝手な願いだろうか。
だからこそ、死んでほしくないんだ。
彼女が幸せになる、その日まで。
それに……
「結局、来てんじゃん。……倒れても、知らないよ?」
彼女の仕草を、
「本当、馬鹿でしょ。……でも、ありがとう」
彼女の笑顔を見るのは、
「相馬」
心地が良いから。


