「いや、迷惑なら、帰るが」


「……んなこといって、今日来たじゃん」


一日に一回。

なにか、変わったことがないかと気になる俺は、つい、沙耶の前に姿を現してしまう。


「私は別に良いんだよ?暇だしね。けど……」


沙耶が、言葉を濁す。

迷惑ではないと、言いたいのか?


沙耶は自身の手を伸ばして、俺の額に触れた。


驚くほどに冷たいその手は、俺の額の熱を奪う。


「……あんたが、無茶することになるじゃない。私の元に来る余裕があるぶん、ちゃんと休まないと。今度はあんたが倒れるじゃん?私は、何の影響もないけど、あんたはたくさんの人の上にたっているんだから」


なんだかんだ言って、俺の身体の心配をする女。