【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1




「……お母さん、お父さんはこんな人よ」


……自分よりも、妻を優先する愛妻家。


確かに、こんな言葉がふさわしい。


沙耶は、父親の性格をよく理解している。


だからこそ、割り切れているのかもしれない。



「…………それでも、大切なことは教えて?娘のことだもの。私は、知っておきたいの」


お父さんの一言に負けたらしい、ユイラさんはそう呟く。


「堪忍。次は、気ぃつけるわ」


病室の端で、ユイラさんを抱き締めた健斗さんを見て、


「絶対に嘘だ。居場所も知らせない奴が、母さんを奪うかもしれない情報を教えるかっての」


沙耶はそう、呆れたように呟いた。