「何で、すぐに連絡をしないの?」
ニッコリと笑った母親を見て、沙耶はひきつった笑みを浮かべた。
「大樹から聞いて、驚いたのだけど。ねぇ?沙耶。私、いつも言ってるわよね?」
「は、はい……申し訳ありませんでした……」
胡座が、自然と正座となり……
「貴女はまだ未成年で、健斗が、いくら自由にしていてくれていても、貴女はまだ、親の保護下にいるのよ?わかってる?」
「は、はい……重々、理解しております……」
沙耶の頭が、俯いていく。
「……まぁまぁ、ユイラ。もういいだろ?」
そこへ、沙耶への救世主。
「でも……っ!」
夫に止められて、ユイラさんは抗う。
「別にいいだろ。沙耶が自分で考えて、行動してるんだから。大樹も勇真も仕事があったんだし……相馬がついていてくれたんだ。安心だろ?」
そういう彼は、本当に沙耶を自由にしている。
そして、遠くから、愛情を与える。
「そりゃ、誰も傍にいないよりはマシだけど……大体!健斗も気づいていたのなら、教えてくれてもいいじゃない!」
それを沙耶は苦痛と思っていないし、ちゃんと愛されていると、思っている辺りがすごい。
……お母さんの力があるだろうが。
「……教えたら、僕を置いて、沙耶のもとに飛んでいくだろが。だから、教えんかっただけなんだけど」
不貞腐れるように呟いた、健斗さん。


