「私、倒れた日になんか、言ったんかな……」 その日の記憶が曖昧と言う沙耶は、頭を掻く。 「でも、覚えてないんでしょう?なら、思い出そうとしても無理じゃん」 「そうなのよ。だから、困ってる。だって、忙しいんでしょう?あいつ」 両親がなく、姉と二人で御園という家を動かしている相馬は、確かに忙しい。 だからこそ、不思議だ。