□夏翠side■




「沙耶!お見舞いにきたよー!」


病室のドアをなるべく、元気を装って開ける。


すると、沙耶はベットの上から微笑んだ。



「夏翠、毎日きてくれて……ありがとね。でも、私は、もう、大丈夫だよ?」


病院服に着替えている沙耶は、笑う。


「大丈夫じゃないでしょ?発作なんか、起こしてさ。言ってくれれば、競技だって……」


「夏翠、京都に帰ってたじゃん」


体育大会の日、仕事で帰っていた私。


「そんなもん、母様に頼んで、どうにでも……」


父は、母に弱いから。


頼めば、どうにでもしてくれるはずだ。


けど、沙耶は。


「バカ。サボるのは、ダメよ。夏翠は将来、家を継ぐのでしょう?なら、学べるときにちゃんと仕事について、学んどかないと」


私の頭を小突き、唇を尖らせる。