「おい、氷月!何でそんなに落ち着いてんだよ!」


何かあったのか、すごい取り乱している弟。
だが、そんなこと知ったこっちゃない。


「おい、水樹、ここ会社、俺、仕事中。よって、五月蝿い。帰れ」


「ちょっ…それが可愛い弟に対する扱い!?ひどっ!」


(…可愛くねーし)


「そんな嫌そうな顔、やめてくれない!?」

軽く染めた茶色い髪に、女みたいにパッチリとした瞳。

「お前のそのテンション、キモい。何だよ、水星の時はそんなんじゃなかったろ」

「水星はあくまで水星だから。俺は俺」


にっこり笑った水樹。

間違いなく、水星はこんなやつじゃなかった。

確かに気持ち悪いのは、変わらないが…いつも、澄ましてて、本当に水の神なんだと思ったのを覚えてる。


「あ、で、用件!」

…間違いなく、こんなやつじゃなかった。