「だから、幸せになってほしいの。相手が誰であっても……沙耶が心を開かなくても、相手がいれば、いてくれれば、沙耶は生きていてくれる気がするから」


まるで、生きられないとでもいうような口調だった。



「…………ごめん、変な話しちゃったね。行こっか」


柚香は再び、涙を誤魔化すように前を向いた。


見られないように、気付かれないように。


沙耶の薬を取りに行く。


そんな女を放っておけずに、


「大丈夫だよ」


頭を撫でてやれば。


驚いたような柚香の笑顔に、目元に、滴が輝いた。