【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1



やっぱり、普通の女の反応はこれが当たり前なのだと思う。


沙耶が異常で、珍しい人種だと。


「沙耶!」


名を呼んで、人並みを掻ききる。


柚香の腕の中でぐったりとし、呼吸困難を起こし気味な沙耶は、息苦しそうで。


「担架!」


叫ぶ柚香は、どうしようにも、動けないらしく。


「どけ」


先生たちの横を通りすぎ、沙耶の元で膝を折る。


「保健室な」


ひょいっと、沙耶を抱き上げれば。


「良いの?相馬、ありがとう!」


柚香は、ホッとしたように立ち上がった。


「相馬、沙耶は大丈夫なのか?つか、どうするつもりだ?」


背後から話しかけてきた、体育大会にちゃんと参加している幼馴染みのなかで、一番真面目な千歳を振り返り。


「保健室に行ったあと、病院に連れてく。熱中症の可能性も高いから、急ぐ」


沙耶の体を横抱きにすれば、触れた首の熱が伝わる。


「……おまけに、軽いし」


異常な軽さと言っても良いくらいに、軽い沙耶は、ぐったりと、相馬に寄りかかってきて。


「キャアーー!」


額を合わせても、やっぱり、熱い。