やっぱり、普通の女の反応はこれが当たり前なのだと思う。
沙耶が異常で、珍しい人種だと。
「沙耶!」
名を呼んで、人並みを掻ききる。
柚香の腕の中でぐったりとし、呼吸困難を起こし気味な沙耶は、息苦しそうで。
「担架!」
叫ぶ柚香は、どうしようにも、動けないらしく。
「どけ」
先生たちの横を通りすぎ、沙耶の元で膝を折る。
「保健室な」
ひょいっと、沙耶を抱き上げれば。
「良いの?相馬、ありがとう!」
柚香は、ホッとしたように立ち上がった。
「相馬、沙耶は大丈夫なのか?つか、どうするつもりだ?」
背後から話しかけてきた、体育大会にちゃんと参加している幼馴染みのなかで、一番真面目な千歳を振り返り。
「保健室に行ったあと、病院に連れてく。熱中症の可能性も高いから、急ぐ」
沙耶の体を横抱きにすれば、触れた首の熱が伝わる。
「……おまけに、軽いし」
異常な軽さと言っても良いくらいに、軽い沙耶は、ぐったりと、相馬に寄りかかってきて。
「キャアーー!」
額を合わせても、やっぱり、熱い。


