「沙耶!」 柚香の切羽ずまった声で、沙耶本人なんだと確信する。 「……チッ、」 立ち上がって、様子を見に行こうとすれば。 「大丈夫だよぉ。先生が、対応してくれ……」 「離せ」 服の裾を引っ張られたので、一言、そう言った。 目を見開いた女。 「な?」 もう一度、言えば。 彼女は掴んでいた服の裾を、離してくれる。 ……その手は、微かに震えていて。