「誰かっ、担架を!」
……沙耶は、生まれつき、身体が弱い。
長く生きられるかも分からないと言われるほどだが、沙耶は笑顔で少ない日々を過ごすことを望み、決めているから、表に出さない。
どんなに辛くても、表に出さないから、沙耶はポーカーフェイスと言われることが多い。
生徒や先生が入り交じるなかで、私は声をあげた。
「早く!」
このままでは、手遅れになる。
酸素が足りなくて、呼吸困難に沙耶が陥る。
「うっ……」
沙耶は、病院嫌いだ。
自分のからだの弱さを認めたくない彼女は、様々な方法で力をつけようと努力する。
たまに裏目に出れば、すぐこれだ。


