【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1



沙耶の話だと、相馬は大の女嫌いのはずだ。


それでも、こうやって、笑顔を作ってまで話せると言うことは、彼には、御園の跡継ぎとしてのなにかがあるのだろう。



(馬鹿馬鹿しい……)


沙耶とは兄弟のように育った私は、沙耶がいたら言いそうなことを、心の中で呟く。



「……御園、ほら、予定表。丸がついてあるところが、そうだから」


相馬なんて呼べば、面倒臭くなることは、まるわかり。


わざと名字で呼んで、この場から離れようとすれば。


「礼を言う。ありがとな、月島」


相馬のそれに合わせてくれる。


ひらりと手を振り、離れれば。


必死に走る生徒の姿と、応援の声が聞こえた。


どこにでもある、一般高校の、一般学生の、一般的な体育大会。


女にとっては、地獄の日々かもしれない。



だが、この学校の体育大会は出席さえしておけば、点数はもらえる仕組みである。


何故なら、かつてはヤンキー学校だったため、ほとんどの人間が参加しようとせず、成り立たなかったらしい。


それでは、真面目な生徒が可哀想ということで、体育大会は、そのような制度になったのである。