□夕梨・千尋・朱里・澪・紗夜華 共通side■




初めて、知ったときは驚いた。


ただ、それぞれ手に入れた記憶は重いものばかりで。


裏切りの証として、不遇な人生を送ることになったり、短命だったり、病弱だったり……そんなことがあるということを知って、まず、気がついたのは、身体が弱い紗夜華は過去で、守護聖を裏切ってしまったということ。


それでも、必ず、何らかの事情があり、意思のすれ違いが生んだ悲しみは、巫女と守護聖の心を引き裂いた。


そんなことがあったということも露知らず、生まれ変わって、愛した相手が前世の主、守護聖の生まれ変わりだった、私たち。


記憶をもって生まれた彼らは、孤独を味わい、長い間、苦しんできた。


そんな彼らに私たちができることは、何だろう?


恋することは、とても簡単。


傍にいることだって、簡単なの。


でも、想いが通じ合うのは、稀。


例えば、AさんとBさんが恋人同士になって、まず、泣くのは、Aさんを好きだった人とBさんを好きだった人。



自分が今、笑っていて、幸せだと思っていても、どこかで誰かは泣いている。



“孤独”


それは、何よりも、何よりも、怖いものだから。