「……話」



「……ああ」


「まだ、続くんでしょ。最後まで、聞かせて。じゃないと、こんな少ない情報だけで、人殺しと月姫を私は責められない」


……夕蘭と、同じことを言う。


過去でも、彼女はこうして最後まで聞ききった。


巫女だから、と。


その姿勢は美しくて。


「月姫は生まれ変わって……」


すべての話を終えたあと、沙耶はどうするだろうか。


軽蔑する?


馬鹿にする?


……どれになるかは、わからないけれど。


沙耶を信じたい。


話を終えたあとも、あいつと仲良くしてくれることを。


なにも知らないあいつには、笑っておいてほしい。


俺らの、何千年も前からの願いを、


たった、それだけの願いを、


彼女たちがわかってくれるなら。


俺らは、その時に願えるだろう。


――自分達の幸せを。