『沙耶ちゃん、これはなあに?』


みんなの賑わう声。


私からすれば、縁遠いもの。



『家族の絵を先生は描いてって言ったよね?』


確認するような、保育園の先生の優しい声に、クレヨンを片手に、沙耶は首をかしげる。


『そうだよ。家族の皆だよ。これが、大兄ちゃん』


小さな、沙耶の指は絵を指して。


『これがね、お父さんと朝陽』


沙耶の顔には、笑みが刻まれる。


『この二人がお母さんとアイラで……』


心底、楽しそうに。


それこそ、子供のように。


『最後にね、これが勇兄ちゃん!』


笑う、六歳の沙耶。