……今回は……


バシャッ……!!



……水攻めだったらしい。



「―っ!……うへぇ……炭酸ですかい」


甘いにおいがするし、髪はベタベタ。


「水攻めならぬ、炭酸攻め……」


はぁ、と、私がため息をついたとき。


怒りに染まっていた、女たちの顔が青ざめた。


見間違いなんかじゃない。間違いなく、だ。


高慢で、私が炭酸を浴びて、笑っていた厚化粧の顔が青くなったのだ。


見間違いであるはずがない。


「―……何やってんだ?てめぇら」


振り返って、目に入ったのはまさかの相馬と蒼生。


「わ、私たちっ……そんなつもりじゃ……」


必死に言い訳する女の子。


「……じゃあ、どういうつもり?沙耶に炭酸なんかかけてさ、何する気だったの?馬鹿なの?馬鹿なんでしょ。可哀想だね、あんたらの脳みそ、誰かにやったら?」


私以上に毒舌な蒼生は、私を見上げる。


「大丈夫?」


「ん。慣れてるし。ただねぇ~炭酸洗い流したいっていうか……」


「チッ」


相馬の舌打ちで、女たちは逃げるように去っていく。


「蒼生、今の女たちをメモっとけ」


「えっ、何する気?なにもしなくていいからね?」


御園と焔棠の正式な情報屋である楪家が連携してすることは、多分、ろくなことではない。


つか、女遊びしているこいつが言うか?


「……大丈夫だ。悪いようにはしないから……多分」


「自信持っていってよ!つか、あんたが怒る理由ないよね?」


「ある。俺らは、あんなやつらの所有物じゃねえ」


「んなの、知ってるわ!そういう意味じゃなくてって……あー、家の鍵、今日は兄貴が持ってるし」


早退して、家に帰ろうと思ったが、今日は兄貴が帰ってくるらしく、鍵は兄貴が持っている。