【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1



「御馳走様!」


こいつが笑っていてくれるだけで、


「どうした?人の顔をじっと見たりして」


それだけで、


「……何でもない」


心が暖かくなる俺は、可笑しいのだろうか。


「変なの」


クスリと笑った沙耶は、立ち上がって。


「お腹も一杯になったし、帰ろっか」


……運命は、曲げられない。


何を思っても、どう考えても。


変えられないのだ。


惹かれ合うのは、宿命だから。



夕蘭を愛したことが、



俺の運命の一つだったと言うのなら。


いつか、この女を愛すことになるんだろう。



過去の悲しみが消え去ることはない気がするけれど、いつか。


いつか、その時が来たならば。


俺は、素直に伝えることができるだろうか。


彼女に、


前世みたく、失敗しないように。



“愛してる”



……その一言を。