【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1

□真琴side■



あの日から、10年。


弟のような存在たちは大きくなり、実弟も成長し、教師になった……否、夏翠のそばにいるときに一番最適な職業につく人間になっているから、夏翠の護衛としといた方がいいだろう。


10年前に壊れた、彼ら。


幼い弟を眺めながら、涙を流さず、ぼんやりとした目で、私をとらえた幼い相馬。


『うちは母さんのこと、絶対許さへん!』


悲しむ人たちを見、幼馴染みの京子はそう言った。


逃げるように、死を選んだ和子さん。


そこには、本当に悲しい話がある。


単純に、人は人を愛しただけだった。


御園家の初代だって、倒さなければならなかったはずの的である鬼を愛し、子孫を作った。


誰もが人を愛しただけだったのに、どうして、相馬は女嫌いになり、京子は辛い思いをして、御園という家は、彼らを縛り付けているのだろうか。


ただ、ただ、狂おしいほどに愛しただけだったのに。



「降りな」


駐車場に車を停め、彼らを振り返る。


だる気に降りた相馬の表情は、暗い。