【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1



「京子が転校させたのも、全て、あんたのためなんだからね」


「……」


「あんたが少しでも笑えるように、生きていることを楽しいと思えるように、京子は尽力しているの。そんな京子の気持ちを、踏みにじっちゃダメだよ」


……そんなこと、言われなくても、分かってた。



だからこそ、嫌なのだ。



忘れられない、絶望感。


赦せないと、あの日からたぎる憎悪。


「……さ、もうすぐ、着くよ」


そんな醜く、汚い感情を忘れられたあの一瞬。


この瞳に映した、愛する人の転生姿。


(沙耶……)


街を出るまでは、あんなに会いたくなかったのに。


沙耶がいるから、その学校には行きたくなかったのに。


前世ほど、彼女のことは知らないのに。


(俺は、母親を追い求めているんじゃない……)




今も、昔も、”夕蘭“を追い求めているんだ。


そして、転生姿の沙耶に惹かれかけている。