「運動会の種目決めも今日あるし…転入生たちが、ギリギリ入れるくらいかな…」

やはり忙しそうな幼なじみを見ていると、手を貸さないと言う選択肢は、頭に浮かばない沙耶なのである。

「私、走るよ」

毎回、種目決めで困るのが、走る競技。

ギャルの多いこの学校では、誰もがその競技を避けたがる。

「ほんと?無茶しなくて良いんだよ?」

「無茶じゃないよ。体を動かすことは、好きだし」

少なくとも、お洒落よりは好む。

「沙耶がそう言ってくれると、すんごい助かる!」

感情が面に出やすい親友は、手を弾く。

「人がいない競技は、私に全部回してくれて良いから」

「沙耶、太っ腹!」

…相変わらず、大袈裟な幼なじみもとい親友であると、沙耶は密かに心のなかで思った。