「沙耶はあーゆう性格だからね」


一部始終を見ていたもう一人の見知らぬ女は、苦笑する。


「昔から…ずっと、ああやってね、一人で頑張ろうとしている。……悪い子ではないんだよ?優しいし、何でもできるし」


女を一括りにし、蔑んだ相馬に怒った女。


「沙耶も中々の人生を歩んできているから…だからこそ、赦せなかったんだと思う。彼女は、自分の力で生きていくことを望んでいるから」


(…そういうことか)


あの女は、“ちょっと変わった”部類にはいるのだろう。勿論、この女も。


「ねぇ、柚香。沙耶、大丈夫かしら?」


「まあ…そんなので不安定になるほど、沙耶は自分に甘くないから、多分……」


「心配だから、見てきましょうか?」


「だね。沙耶が暴走すると、誰にも……うーん、家族にしか止められないからなぁ…」


「暴走?」


「……昔からね、ぶちギレると、ヤバイの。今日のことは、まだ、大丈夫だけど……」


柚香は何かを思い出すかのように、遠い目をして。


「沙耶が…ううん、沙耶の家族が許せないことがあるんだ。それを消すためになら、沙耶の父親も動くほど」