◼相馬side◻



―…めんどくさい。


非常にこの状況がめんどくさい。



「ねぇ、相馬さま」


「お久しぶりですぅ、私を覚えていますか?」


舞い上がる、強い香水。


すり寄ってくる女たち。


(…だから、パーティーは嫌いなんだよ…)

相手するのが非常にめんどくさい。


だが、表では笑う。


彼女たちは、良い家の出身。


いつか、御園のための駒になってくれる。


生まれてきてから、学んだことだ。


女はいつだって、ブランドを好む。


男でも同じだ。


男でも、彼女たちは自分地位を守るために、可笑しな方向に手を染める。


それが、悪だろうとも。


「相馬さま、今夜は?」


若干、頬を赤くしながら言ってくる女。


(―…誰だっけ?)


全く、思い出せない。