「一応、お嬢様、なんだよね?」


思わず、呟いたその一言に柚香が笑い声をあげた。


「あははっ、沙耶、お嬢様らしくないでしょ?おじさんがそんな感じなの。色気より食い気。男より食い気。花より団子って言葉が一番、ぴったりな子なんだよね~それにさ、めっちゃ、美味しそうに食べるの。だから、つい、餌付けしちゃって」


沙耶を可愛い、可愛いと愛でる柚香は、遠目に沙耶を見つめる。


「あの子が少しでも笑顔であるとね、私、とっても嬉しいんだ。沙耶には、もう、我慢してほしくない。けど、それはあの子を殺すから…なにも言えない」


正直、柚香の言葉の意味がよくわからなかった。


ただ、悲しそうな横顔が沙耶の過去と関係することだけは分かった。