「やっぱり。石井ちゃんとは付き合えないよ…だって、私、こんなにも須賀のこと好きなんだもん」


石井ちゃんの優しさに甘えちゃいけない。
ちゃんと自分の気持ちを通さなきゃ…。
私はそんな想いで、放課後に音楽準備室に呼び出して、石井ちゃんを真っ直ぐに捉えるとそう言った。



石井ちゃんは、顔色一つ変えない。



「本気、か?」

「…うん」

「そうか。そりゃ残念。けどな、神谷。須賀よか俺の方がお前の事よく分かってるし、お前が俺を好きだって言うまで諦めねぇよ、俺は。そんだけ本気だっつの。
…はは。余裕とか言っといて、なんつー情けない奴なんだよ…。ま、須賀がダメならすぐ戻って来いよ?ずっと待ってるから…」


『俺の隣はお前だけのもんだ』



そう言い残して、石井ちゃんは準備室を出て行った。