それ処か自分が教室に居ると言う事さえも忘れていた様な、そんな感覚に陥っていた。



…こんなの、らしくないのに。



『――じゃあ今日の連絡事項はこれで終わりだ』


先生の話が終わると学級委員の男子が席から立ち上がり号令を掛ける。



『起立、礼』



『『『さようならー』』』



次々と教室から出て行くクラスメイト達を横目に鞄を持って席を立ち上がる。



『おー、橋本。 お前は職員室な』



「…分かってますよっ!」



先生に付いて行こうと踏み出すと里中に声を掛けられた。



「ねぇ、橋本」



後ろから肩を叩かれて。


どくりと心臓が跳ねる。


緊張で振り向く事すら出来無い。