キーンコーンカーンコーン…



七時間目の授業の終了を告げるチャイムが鳴った時、あたしはようやく下を向いていた顔を上げた。


日本史の先生は教壇の前から既に姿を消していて、代わりに担任が出席簿を片手に教室に戻って来た。



そっか、もう終礼の時間か。


黒板の上に掛かっている時計に目をやると時刻は4時30分。


あれからもう三時間以上が経過していた。



「…ノート真っ白だ。
後で縡ちゃんに見せて貰わなきゃ」


机の上の筆記用具をとろとろと鞄の中に仕舞い込み、溜め息を吐く。



ずっと里中の事を考えてたからかな。

起きている時では初めて、授業の内容が完全に頭に入ってこなかった。