彼女持ちの男の子を好きになるなんて、誰が聞いても良い気はしない。
彼女だって嫌だろうし、里中だって多分あたしの気持ちは迷惑だ。
だから皆には知られちゃいけない。
あたしの気持ちが二人の耳に入る様な事になってはいけない。
「羽華、大丈夫?」
顔を歪めるあたしに縡ちゃんは眉を下げて、頭をよしよしと撫でてくれる。
「うう、縡ちゃん…」
あたしは泣きそうになりながら縡ちゃんに抱き付いた。
“あんたは人の恋を邪魔する様な性じゃないし、
またきっとすぐに新しい恋が出来るよ”
縡ちゃんは優しくそう言ってくれて。
あたしはそれに小さく頷いた――。