縡ちゃん、早くジュース選んでくれないかな…。



自販機の中に並ぶジュースをじっと眺めている縡ちゃんを見ていると急かす気持ちが大きくなる。



すぐ隣には星花さん。



星花さんはミルクティーを購入したらしい。


見覚えのある白いパッケージの缶。


星花さんはそのプルトップを整った爪でカツンと音を立てて開けた。




『んで星花、さっき中庭でどうしたって?』



星花さんと同じくミルクティーを手にした友達が話を促す。



『あ、実は彼には秘密だけど泉と目が合ったんだ』



――え?



心臓が一気に冷えてゆく、息が止まる。




『へぇー、泉くんと?』