…里中にはそう思われて良いかも。
寧ろ得しちゃった!
なんて考えてしまうあたしは現金な人間だ。
「ね、里中」
「ん?」
「今日一緒に帰ろーよ」
「え」
途端に顔を歪ませる里中。
ズキッ、と胸の中が痛んだ。
もしかしていきなり過ぎた?
彼女になったからって調子に乗り過ぎた?
冷や汗が額からじんわりと滲み出てくるのを感じる。
握り締めていた箸が手から滑り落ちそうになった時。
「…別に、良いけど」
そう、返事が返ってきた。
「本当⁉︎」
束の間の杞憂も忘れてあたしの表情はすっかり明るくなる。
「うん」
「あ、でもあたし今日
先生にちょっと呼ばれてて
放課後職員室に行かなきゃいけないんだ…」


