ごくり、と喉を鳴らしてお茶を飲む里中を見てあたしもごくりと唾を呑み込む。
今更ながら緊張してきた。
縁眼鏡の奥にある切れ長な眼は思っていたよりもずっと優しい。
箸を握る指先だって、綺麗だなぁとか。
…あたしってもしかしなくても変態臭いかも知んない。
でも、好きだなぁ。
あたしに向かって、あたしだけに笑って欲しい。
里中の笑顔を独り占めしたいだとか欲張りな事ばかり思ってしまうよ。
「…食べないの?」
不意に里中から発された言葉。
はっ、として目をぱちくりさせる。
どうやら里中の事を見つめるあまり箸の動きが止まっていたみたいだ。
「食欲無いの?」
「そんな事無いよっ!」


