天井を見上げて、涙が零れ落ちそうになるのを
何とか阻止しながら。


震える声で里中に返事をする。



「じ、じゃあっ…

これから宜しく、で良いのかなぁ?」



「…分かった、これから宜しく、橋本」



生気の無い様な返事に溢れ出す涙が、止まらない。



嬉しいけど、苦しい。


悲しいけど、幸せ。



色々な感情がごちゃ混ぜになって頭の中を支配する。



何だか可笑しくなりそう。


涙腺決壊間近。



「じゃ、じゃあまた後でねっ!」


里中に涙を見られるのがどうしても嫌なあたしは

それだけを叫ぶ様にして伝えると、其処からダッシュで走り出した。


今は、里中の顔が見れない。

見たくない。




「好きになるから!」



遠ざかる場所から、里中の叫ぶ声が耳に届いた。




「きっと、橋本の事

…好きになるから!」



「~っ」




――それでもあたしはその声に振り返る事が出来無かった。