「あたし、初めてだったのに…」


ガンッと頭に衝撃を喰らった様な顔を、して見せる。


…だってよくよく考えたら嫌じゃなかった。

あたしは里中の事が好きなんだから。


でも、やっぱり

“さっきのは元カノの手前、勢いでしてしまいました”

だなんて言われたら
やっぱり悲しいし、傷付く。


…実際そうなんだろうと分かっていても。


サーッと顔から血の気が引いてみるみる内に真っ青になっていく里中。


本当、分かり易い。



「ご、ごめん。
本当、ごめん」


頭を下げて謝る里中。


本当に悪かったって思ってるんだ。

だけどあたしは里中にキスした事を謝って欲しい訳じゃないんだ。


例え、好きじゃなくても“キスしても良いかな?”って思える相手だったからキスしたって思ってて欲しいんだ。