震える里中はそれから眼鏡を外して、ごしごしと制服の袖で目を擦って涙を拭った。
こんな時、あたしなら。
ぽん、ぽんっ。
屈み腰の里中に合わせて少しだけ背伸びをし、頭を撫でた。
里中の髪は思っていたよりもずっとさらさらしていた。
「…っ」
頭を撫でられた里中は驚いた顔をして眼鏡を掛け直した。
「情けなくなんかないよ」
そうだ、情けなくなんかないんだ。
素敵な事なんだ。
「だって、それだけ想う気持ちが残ってるんだよ。
それ位、大切な“好き”だったんでしょ?」
「……。」
「あたしバカだから上手い事言えないけど、
里中は全然情けなくないよ」
“うん、それだけは言える”
そう付け足して、えっへんと胸を張ると。


