『……泉、ごめん』
そう言って彼の方に、ちらちらと視線を向ける星花さんに
あたしの予想は外れていなかったのだと知る。
やっぱり、隣に居るのは星花さんの新しい彼氏さんなんだ。
どうしよう、どうしよう…!
星花さんとその彼氏を前にして向かい合う里中の後ろ姿をはらはらしながら見つめる。
「……。」
無言の里中が今、どんな表情をしているのか
覗き込んで確かめる勇気なんて無い。
その“表情”を知るのが怖い。
「里中…」
代わりに小さな声でそう呟いて里中の腕に触れようとした瞬間。
ぐいっ、
伸ばした手を引っ張られて胸元に引き寄せられた。
ち、ちょっと、ちょっとっ!
いきなり里中の腕の中に引き寄せられたあたしは
驚きと恥ずかしさで口をぱくぱくと開閉させる事しか出来無い。


