携帯を握り締める里中に手を伸ばし、その腕をぎゅっと握り締める。 「橋、」 「好きだよ」 「え、」 「里中の事ずっと好きだったよ」 だから、 行かないで。 星花さんの所へなんて行っちゃやだよ。 「――っ、ごめん」 「っ、」 「ごめん、橋本」 里中の後ろ姿が潤む目に映る。 駆けて行く里中の後ろ姿は、あっと言う間に消えて見えなくなってしまった。 「ふっ、う」 必死に止めようとしても、涙が止まらない。 分かっていた筈なのに。