ペットショップを出ると、すっかり辺りは真っ赤な夕焼けに染まっていた。
流れる様に吹く風の瑞々しさも、道路を走る車の音も、烏の鳴く声もリアルな筈なのに
今は違う世界のものの様に思えた。
「……。」
「……。」
無言のまま、二人並んで脇道を歩く。
「ペットショップ、一緒に来てくれて有り難う」
「…ああ」
「グッピー綺麗だったね!」
「…ああ」
この空気を何とかしたくて、ひたすら里中に話し掛けるも、
どうしたのだろうか。
里中は上の空で、“ああ”の一点張りだった。
それでも、あたしは負けないと。
めげないと、里中に話し掛け続けた。


