先生、僕を誘拐してください。



「……いや、なんでいるの」

じっと体育館を見ていただけなのに、重たいドアが開いて奏が速攻で出てきた。

「あんたこそ、なんでわかったの」

見つからないように、体育館の裏でちょこんと座ったつもりだった。
なのに、奏は汗を拭いながら、隣に座る。

ほくほくした奏の体温がなんだかとっても安心できた。

「俺にはお前の本音が見えてるって言ったろ」

「嘘だし」

「敦美先生に何か言われたの? なんかあの人も元気なかった」
「うそぉ」

「ホント。いつもならスポーツドリンク五杯は飲むのに、二杯でやめてたよ」
「普段が飲みすぎなの」
「ふうん……」

奏は立ち上がると、再び重たい扉を開けて体育館に頭だけ突っ込んだ。

「俺、休憩するわ!」
「は? ずりい!」
「じゃあ15分……いや30分休憩しよう」

村田くんの適当な提案に、蒼が嬉しそうに飛び上がってるのが分かった。

去年まで試合できる人数ではなく、今年やっと人数がそろったらしい。
そのせいか、部活にしては緩すぎる。

「……ね、奏」