あぁ...ほんとにこいつは。


眉間に指を当て呆れる。

この男、峰岸龍吾。


月緋(つきあか)家に仕える執事だ。

仕事は何でもこなすし、直ぐに終わらせる。

そしてなかなかのイケメンだ。

しかし、顔がいくら良くても問題は中身だ。中身!大事だから語尾に『!』をつけておいたぞ。


いつも人の事は『姫』呼ばわりするくせにムカつくとすぐに『小娘』だのなんだの言う!なめてる...こいつ、絶対私のこと嫌いだ!!


「何をそんなにお怒りになっておられるんです?私は好いてますよ、姫のこと」


「...読心術でも使えるのか、お前は」

また執事はにっこり嗤(わら)った。

「さぁ、早くご準備なさってください。学校に遅れます」


私の首に十字架の付いたチョーカーを巻いた。