「やっぱり欲しかったんですか?素直におっしゃればよかったのに」

「違うわよ!これを使うのよ!」

箸で摘み上げたそれは狐にとって大好物とされるものであった。

器にそれだけを残して中心に置き、ルナ達は草陰に身を潜める。

数十秒としないうちに主が現れた。

「クンクン......これはうちが大好物とする油揚げや!!こんなところにあるやなんてめっちゃラッキーやんか!!いっただきまーす!!」

「スキありぃぃぃぃぃ!!!」

草陰に隠れていたルナは狐に向かって飛び出した。

驚いた彼女は反応するのが遅く、ルナに捕まった。

「うわぁ...うちとしたことが...人間ごときに捕まるやなんて最悪や。残念や。こんな板の女の人に捕まるぐらいやったらもっとボインボインの姉ちゃんが良かったわ」

何気に私、傷つけられてない?ねぇ、大丈夫?私、何気にまな板って言われてるよね!?

「姫はまな板ですよ」

執事に言われルナは彼に手を出すが綺麗に避けられてしまう。

「あー、綺麗でボンキュボンの姉ちゃんやったらその間でパフパフ出来たんに。なあ、なんで姉ちゃん板なん?なんで、そんな薄っぺらいん?なあなあ」