一方、ルナは廊下を駆けていた。
先生や風紀委員に「廊下を走らないで!」と言われても走る。

早く峰岸を見つけて追い出したい思いなのだ。しかし何処を探してもいない。
屋上、空き部屋、実験室や準備室。教科担当がいそうな所を探した。もちろん職員室も。
しかしいない。

「どこにいんのよ、あいつは...」

そういえば1箇所だけ探していないところがあった。

ルナはそこへ向かうべく再び走った。


『保健室』と書かれた部屋の扉を開く。

やはりいた。

いるにはいるのだが女の子を膝の上に乗せている。

「何してんのよ、このバカ峰岸!!」

勢いよく飛んで峰岸に飛び蹴りを食らわした。

女子生徒は慌てて立ち上がるも驚いて立ちすくんでいる。

ルナが睨めば謝って部屋から出ていった。

「あー、いってーな。何すんだこのアバズレ女」

「話し方」

睨み+声を低くしてルナは言い放った。

峰岸はそれを聞いて舌打ちを一つ。

「てか何、勝手に学校の先生やってんのよ!あんたは!!そんなに女の子に飢えてたか!?あぁ!?...はぁ、私の唯一のプライベートがぁぁあ.........」

項垂れるルナ。

「言いたい事はそれだけですか」

「は?」

「だから、言いてぇことはそれだけかって聞いてんだよ、耳が悪ぃのか。いい腕の耳鼻科、教えてやろうか?」

ルナは悟る。
あ......これ......めっちゃ怒ってる...蹴ったこと怒ってる...

「ご、ごめん、蹴って...」

「ぁ、別にそれに関しては怒ってません。むしろ、蹴られて光栄です」

ルナはすごい早さで後退し、距離は10mほど。

「...そんなに離れなくてもいいではないですか。私はそういうものよりもっとマニアックなものの方が好きですよ」

「だぁぁあ!!!!!言うな!!それ以上言うな!!!健全をお届けするこの物語が穢れるじゃない!」

「はいはい。畏まりました。さて、姫。私が怒っている理由はなんだとお思いですか」

ルナは近場にあった椅子に腰掛けながら考える。