「今、何か聞こえなかった...?」
「え?何も聞こえなかったけど...」
2人とも血の気が引いていくのを感じた。
「み、見に行こう」
ちえみが声を震わせながら言う。
「え、ちょっと...!」
小声で静止を呼びかけるがちえみは既に科学実験室の扉のドアノブに手をかけていた。
木が軋む音が響くと扉は開かれた。
中は薄暗く、薬品の匂いが鼻腔をくすぐる。
一歩、また一歩と歩みを勧めていく。
「ねぇ」
ちえみに声をかけて見ると大きく彼女の肩が揺れた。
「な、なによ!?驚かさないでよ」
小声で言うちえみ。
「ごめんごめん。何も無さそうだし、戻ろ?なんかほんとに出てきそうで怖い」
「ルナったらそういう割には冷静ね...」
何を言い出すのかと思えば冷静ですか?
全然冷静じゃない。
むしろ怖い。
発狂しまくりたい。
「いいから、戻ろう」
ちえみの手を引いて来た道を戻り始めるが違和感を覚える。


