「茉莉ちゃんもあの三人のことよろしくね」

私は匠さんと一緒に家を出た。

麦わら帽子を被って格好は本当にハワイ帰りですか、って感じだけど。忙しい中でも三人に会いにくるってことはなんだかんだ言ってすごく心配なんだと思う。

任せてくださいとは言えないけど、匠さんが安心できるように協力したい。


「あ、そういえば聞き忘れてたけど最近身の周りでなにか変わったことはない?」

匠さんが思い出したように言う。


「変わったことですか?特には……」

「それならいいんだけど、どうも帰ってきてから奇妙な気配がしてね」

そう言って電線に止まっているカラスを見つめる。


「カラスは普段からけっこう多いですよ。学校の周りは特にいっぱいいますけど」

「ふーん」

なんだかその目つきが鋭くなったのは気のせいだろうか。カラスは不吉な前兆とも言うし私もあまり好きではないけど……。


「あのお土産の魔除け。いつか役に立つかもしれないからちゃんと茉莉ちゃんの近くに飾っておいてね」

「……え、あ、はい」

ガイコツだし見た目が怖い感じだから、どうしようか迷ってたところだけど匠さんが言うなら部屋にでも飾っておこうかな。


「親父」

と、その時。聖を先頭に三兄弟が外に出てきた。