そもそも考えてみたら晶くんは透明人間なんだから、家に侵入することも容易いわけで……。

ああ、昨日は普通にこの力のことを受け入れてしまったけど色々とこの先が不安すぎる。

むしろイタズラっ子の晶くんが透明化できるなんて、そんなの反則というか不条理すぎるよ……。


「茉莉。学校の勉強はどうだ?」

そのあとリビングに下りるとお父さんが新聞を読んでいた。テーブルには目玉焼きとウインナーとトースト。

これもいつもの朝の光景。


「う、うん。苦手な科目もあるけどなんとかやってるよ」

お父さんは夜遅くに帰ってくるし休日出勤も珍しくないから、この顔を合わせる朝の時間を大切にしている。

大切にしてるんだけど……。


「あ、そういえば隣の一条さんとは三人とも同じ学校なんだろ?新しい土地だと不便なことも多いから色々と教えてあげなさい」

「う、うん」

「隣同士なんだしなにも気を遣うことはないんだから今度うちに呼んでご飯でも一緒に食べようと伝えておいてくれ」


いや、多分だけど……。

伝えなくても確実に三人の内ひとりには伝わっている。

だって……だってさ、晶くん絶対にお父さんの横に座ってるんだもん……!