「え、だ、だって聖は気を失ってそのまま寝ちゃったし……。風邪のせいで聖はあんなことをして……だからあれはなかったことになってるというか、聖は無意識でやっていたとばかり……」

日本語がたどたどしくなる。

それで同時に甦ってくる記憶。


「たしかにあの時、血がざわついて狼になりかけてたけど、なにをしてるとか誰にしてるとかはちゃんと普通に分かってた」

まさかの事実。


考えないようにしてたけど思い出すとまた身体が熱い。聖のキスと指先が脳裏に浮かんできてクラクラしそう。


「つ、つまり……確信犯ってこと?」

「さあな」

聖は隠すように私の前を歩きはじめた。


……ああ、どうしよう。

ちょっと早歩きで歩く聖を追いかけながら、その耳が赤くなっていることに気づく。

自惚れてないし、勘違いもしてない。

だけどもし、聖と同じ気持ちだったら……。


「こ、聖っ!」

その足を大声で呼び止めた。


こうなったら当たって砕けてもいい……!

この胸の高鳴りはもう止められない。



「わ、私が聖のこと好きだって気づいてる?」

……言ってしまった。

しかも人生初の告白で何故か疑問形。すると聖はくるりと振り返って私を見る。

ドクンドクンと心臓が速い。